2026年4月21日の午前、大分県にある陸上自衛隊の日出生台(ひじゅうだい)演習場で、戦車の射撃訓練中に砲弾が暴発する事故が発生しました。
この事故で男性隊員3名が死亡、女性1名が重傷を負っています。
なぜ訓練中に爆発が起きたのでしょうか。
この記事では日出生台演習場の戦車爆発の原因について、過去の事例や専門知識をもとに調べてまとめました。
※原因は現在も調査中です。
確定情報ではなく、過去の事例から考えられる原因をお伝えしますので、ご了承ください。
日出生台演習場の戦車爆発で何が起きた?
まずは日出生台演習場の戦車爆発で何が起きたのか、時系列にまとめます。
戦車暴発事故の時系列まとめ
2026年4月21日に起きた戦車暴発事故の流れです。
| 時刻 | 出来事 |
|---|---|
| 午前8時40分頃 | 日出生台演習場で射撃訓練中、「戦車が暴発した」と自衛隊から119番通報 |
| 通報直後 | 4名の負傷者をドクターヘリなどで搬送 |
| その後の報道 | 男性2名の死亡が確認、男性1名が心肺停止 |
| 午後12時15分頃 | 男性3名の死亡が確認、女性1名は重傷(意識あり) |
(出典:FNNプライムオンライン、時事通信、Yahoo!ニュース)
事故があったのは、大分県玖珠町にある日出生台演習場です。
陸上自衛隊玖珠駐屯地の西部方面戦車隊が射撃訓練を行っていた最中に、砲弾が砲内で暴発したと報じられています。
FNNの報道によると、亡くなったのは45歳の男性と28歳の男性で、32歳の男性が心肺停止の状態でしたが、その後死亡が確認されました。
21歳の女性はけがをしていますが、会話ができる状態とのことです。
小泉防衛大臣は「このような状況に至り大変残念」「原因究明と安全管理の徹底に努める」とコメントしています。
亡くなられた方々に心よりお悔やみを申し上げます。
「暴発」「腔発」とは?
ニュースでは「暴発」と報道されていますが、砲弾が砲身の中で爆発する事故は、専門的には「腔発(こうはつ)」と呼ばれます。
暴発は、使用者の意図しない撃発事故全般を指す言葉です。
一方、腔発は「砲弾が砲身の内部で爆発すること」を指す、より限定的な用語です。
砲弾は本来、砲身を通過して砲口から飛び出したあとに目標付近で炸裂します。
しかし何らかの原因で砲身内部で爆発すると、大きなエネルギーが密閉された空間内で暴れることになります。
そのため砲身が破裂し、砲員が死傷する極めて危険な事故です。
腔発は銃砲を扱う関係者が最も恐れる事故の一つとされています。
(出典:Wikipedia「腔発」)
戦車の砲弾が暴発する原因4パターン
では、なぜ戦車の砲弾は暴発(腔発)するのでしょうか。
今回の事故の原因はまだわかっていません。
ここでは過去の事例や専門知識から、考えられる原因や理由を4つお伝えします。
①:砲身内部への異物混入
砲身の中に土砂や草、金属片などの異物が入っていると、砲弾の進行が妨げられます。
砲弾が詰まると発射時の火薬の圧力に砲身が耐えられなくなり、砲身が破裂する原因になります。
実際に2010年の富士総合火力演習では、90式戦車の砲口が土手に接触して土が入り、そのまま射撃したことで砲身が破裂しています。
この時は幸いけが人はいませんでしたが、砲身の先端約40cmが吹き飛びました。
異物の混入は人為的なミスと環境要因が重なって起きやすいとされています。
②:砲弾・信管の製造不良
砲弾や信管(しんかん)に製造段階での不良があると、腔発の原因になります。
例えば、砲弾の内部に炸薬(火薬)がきちんと詰まっていないと、発射の衝撃で炸薬が弾底に衝突して発火してしまいます。
また、信管の安全装置が不十分だったり、起爆剤である雷汞(らいこう)に不良があったりする場合も危険です。
砲弾の弾体の強度不足で、発射時のガス圧力に耐えられず破裂するケースもあります。
自衛隊では厳しい品質管理が行われていますが、過去の歴史を見ると製造不良は腔発の代表的な原因の一つです。
③:装填時のミスや不具合
砲弾を砲身に装填(そうてん)する際の手順ミスや装填装置の不具合も、暴発の原因になり得ます。
現代の戦車砲で多く使われる対戦車榴弾(HEAT弾)は、通常の砲弾とは異なり砲内に押し込む際に引っかかりやすい形状をしています。
弾頭が変形・破損した状態で装填されると、腔発につながるリスクがあります。
手動装填でも自動装填装置でも、精密さと十分な速さという相反する要件を両立させる必要があり、そのバランスが崩れると事故につながる可能性があります。
また、使用する弾薬の取り違えや薬量の誤りも危険です。
④:砲身の過熱・劣化
連続射撃によって砲身が過熱すると、金属の強度が大幅に低下します。
連続射撃によって砲身が過熱した状態で発射すると、火薬の圧力に耐えられなくなり砲身が破裂する原因になります。
大口径砲では30発を連続発射すると尾栓部の温度が100℃を超えるとされており、運用上は連続射撃の制限が設けられています。
また、長期間の使用により砲身が水素ぜい化(火薬燃焼で発生した水素が金属に浸透し脆くなる現象)を起こすこともあります。
そのため砲身には寿命が設定されており、一定数使用したら交換することで予防されています。
暴発が起きると戦車内ではどうなる?
砲弾が砲身内部で爆発すると、密閉された戦車内部は非常に危険な状態になります。
砲身が破裂すれば、破片が広範囲に飛び散り、砲塔内にいる乗員に直撃する可能性があります。
また、車内に積載された他の弾薬に誘爆(爆発が連鎖)するリスクもゼロではありません。
今回の事故で4名もの隊員が死傷しているのは、戦車の密閉空間で起きた爆発であったことが被害を大きくした可能性があります。
過去の戦車・砲弾事故事例一覧
日本や海外では、過去にも砲弾の暴発・腔発事故が発生しています。
| 時期 | 概要 | 原因 |
|---|---|---|
| 2010年8月 | 陸上自衛隊 90式戦車が富士総合火力演習の訓練中に砲身破裂。砲口先端40cmが吹き飛んだ | 前進中に砲口が土手に接触し、土が砲身内に混入 |
| 2007年5月 | 韓国海軍の駆逐艦「文武大王」で127mm砲の射撃訓練中に砲身内で爆発 | 「何らかの理由」と発表(詳細非公開) |
| 2025年8月 | 日出生台演習場で西部方面戦車隊の隊員2名が訓練中に死亡 | 落雷による感電死と判明(暴発ではなく落雷事故) |
| 2026年4月 | 日出生台演習場で射撃訓練中に砲弾暴発。3名死亡、1名重傷 | 調査中 |
(出典:乗りものニュース、Wikipedia「腔発」、J-Defense、FNNプライムオンライン)
日出生台演習場では、2025年8月にも隊員2名が訓練中に亡くなる事故が起きています。
この時の原因は落雷による感電死でしたが、同じ演習場で1年以内に再び死亡事故が発生したことになります。
まとめ:日出生台演習場の戦車爆発の原因と理由は?
今回は【日出生台演習場の戦車爆発の原因と理由】について解説しました。
- 2026年4月21日、日出生台演習場で射撃訓練中に戦車の砲弾が暴発し、3名が死亡・1名が重傷となった
- 砲弾が砲身内部で爆発する事故は「腔発(こうはつ)」と呼ばれ、砲員にとって最も恐れられる事故の一つである
- 過去の事例から、暴発の原因には異物混入・製造不良・装填ミス・砲身の過熱や劣化の4パターンが考えられる
- 2010年には自衛隊の90式戦車でも砲口に土が混入したことによる砲身破裂事故が起きている
- 今回の事故の原因は現在も調査中であり、防衛省による正式な発表を待つ必要がある
亡くなられた3名の隊員の方々に、心よりお悔やみを申し上げます。
けがをされた方の一日も早い回復をお祈りしております。
今後、原因が判明した際には情報を更新する予定です。
参考元:FNNプライムオンライン、時事通信、Yahoo!ニュース、Wikipedia「腔発」、乗りものニュース、J-Defense
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